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第5回 寝たきりの父の入れ歯

訪問診療で調整可能

質 問
自宅で寝たきりの父がいます。最近までみんなと同じように食事をしていたのですが、このごろ急に食欲がなくなってき ました。入れ歯が痛いようで、すぐに口から出してしまいます。ベッドからほとんど動けないので、歯医者には連れていけません。どうすればよいでしょうか。


回 答
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徳島県歯制医師会
秋田 豊仁
第5回 寝たきりの父の入れ歯
訪問診療で調整可能

お困りのこととお察しします。歯科治療は、さまざまな機材、器具を用いますし、診療台のように移動が困難な機械も多いので、これまではなかなか、訪問診療が行えませんでした。

しかし高齢化が進み、患者が病気などで通院できないことも増えています。そんな人たちのためにも、何とか訪問診療ができないかと取り組んできた結果、いろいろな機械装置が考案され、訪問診療を行えるようになっています。それに伴い、訪問診療を行う歯科医院も増えてきました。

かかりつけの歯科医師がいるのなら、まず、現在の状態について相談してみてください。訪問診療をしてくれるかもしれません。かかりつけの歯科医師がいない場合や、訪問診療を行っていない場合は、徳島県歯科医師会が在宅歯科医療連携室を開設していますので、そちらで相談してみてはいかがでしょうか。

連携室では、県内各地で訪問診療をしている医師を把握しています。まず、住所や連絡先、現在の状況などを簡単に伺い、周辺で訪問診療を行っている歯科医院に確認をして、適任と思われる歯科医院を紹介いたします。
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もし都合が合わなかった場合には、あらためて別の歯科医院を紹介いたします。

通院が困難な患者は、さまざまな病気を持っていることが多く、いろいろな薬を服用されていますので、麻酔の必 要な抜歯や、歯の神経を取るといった処置は難しいことが多いです。しかし、入れ歯の調整や簡単な修理、鋭くとがった歯の先を丸くするなど、完治はできなくても、少しでも楽になるような処置はたくさんあります。 口の中を見せていただくことで、歯磨きなどの口腔清掃や入れ歯の管理もできます。 高齢者は、食事時にせき込んだりむせたりして食べ物などが肺や気管支に入ってしまい誤嚥性肺炎を起こすことがありますが、それを防ぐ口腔ケアについてもいろいろな助言ができると思います。

ご質問の内容を読む限りでは、入れ歯の調整を行えば以前と同じように食事ができる可能性は高いと思います。そうであれば、訪問診療で改善が期待できると考えます。

訪問診療の際には、家族も一緒に患者の口の中を見て、これからの管理についても聞いてみてください。口を清潔に保つことは、機材や難しい技術を必要とせずにできますし、食事だけでなく全身の状態にも良い影響があります。最後に在宅歯科医療連携室は一般の方の訪問診療の相談だけではなく、介護職の方の口腔ケアに関する相談や老人会などでの介護予防に関する講習会などの相談にも応じています。お困りのことがあれば気軽に相談してください。詳しくは県歯科医師会ホームページにも掲載していますので、ぜひご覧ください。