第8回 卒乳と仕上げ磨き
ブラシ動かす順番に工夫
質 問
1歳2カ月の女の子の母親です。1歳を過ぎたのに哺乳瓶をやめられず、仕上げ歯磨きも嫌がってさせてくれません。このままでは、むし歯にならないかと、とても心配です。どのようなことに気をつければいいか、教えてください。
回 答
徳島県歯科衛生士会
関口 真由美
第8回 卒乳と仕上げ磨き
ブラシ動かす順番に工夫
母乳やミルクだけに頼っていた赤ちゃんが、初めての誕生日を迎えるころには、次々に生えてくる乳歯を使い、かんで食べる力を身に付けていきます。成長や健康を守るためには、食事から栄養を取ることがとても大事です。このころが、母乳やほ乳瓶を卒業する「卒乳」の時期ですが、歯が生える時期や幼児食への移行には個人差があり、「卒乳」のタイミングは千差万別です。
そろそろ母乳や哺乳瓶をやめさせたいけれど、子どもがやめないと、ついイライラしたり不安になったりすることもありますね。 ご心配されているように、哺乳瓶でミルクや乳酸飲料、スポーツドリンクなどを飲ませながら寝かしつける習慣が続くと、上の前歯を中心にむし歯ができやすくなります。 これを「晴乳瓶むし歯」といいますが、寝ている間は唾液があまり出ないので、飲み物の糖分が歯の周りにたまるために起こります。母乳をあげている場合も同じです。上の前歯の表面が白く濁ってきたら要注意です。
「卒乳」には二つの方法があります。一つは自然な流れでの卒乳。欲しがる間はずっとあげて、赤ちゃんの方から離れていくのを待つ方法です。1歳を過ぎるころには、言葉の意味が少しずつ分かるようになります。言葉でのコミュニケーションを大切に、寝る前にお話を聞かせてあげたり、子守歌を歌ってあげたりして、授乳以外の触れ合いで赤ちゃんが満足するものを探っていけたらいいですね。
もう一つは、目標を決めて親子で頑張る方法です。まず、飲み物をコップで飲む練習を始めましょう。上手に飲めるようになってくると、哺乳瓶を使つての授乳や母乳をあげる回数を少しずつ減らしていきます。そして、この日からと決めて思い切ってやめます。しばらくは欲しがって泣いたりぐずつたりする子が多いですが、抱っこしたり遊んだりして乗り切りましょう。
自己主張を始めるこの時期は、何でも自分でやってみたいときです。食後に歯ブラシを持たせてあげましょう。お母さんや家族も磨くとやりたがるでしょう。
子どもが自分で磨いた後は、親の仕上げ磨きです。多くのお母さんが仕上げ磨きの悩みを抱えています。口はとても敏感なので、触られ、口の中に何かを入れられることを嫌がり、歯ブラシを見るだけで逃げたり泣いたりする子もいます。
こうした子どもの場合、嫌がるからといって仕上げ磨きをしないでおくと「泣いたらやらなくてもいい」と勘違いしてしまうとともに、汚れた口に慣れて、歯磨きの習慣をつけるのが難しくなります。
「歯や口が汚れていると気持ちが悪い」という感覚を、幼いうちから体で覚えさせましょう。まず、子どもの頭をお母さんの膝に寝かせます。こうすると安定して、口の中がよく見えます。歯ブラシを軽く持ち、ごくわずかに振動させるように動かすのがこつです。磨く順番は、感覚が鈍い下の奥歯、上の奥歯、下の前歯、上の前歯の順だと抵抗が少ないようです。磨き終わったら、泣いていても、すかさず褒め言葉をかけてあげましょう。 どの子も仕上げ磨きを嫌がるのは一時的で、成長とともに変わっていくものです。毎日奮闘しながらも、「歯磨きは楽しい」と感じられるように家族ぐるみで取り組み、丈夫な歯を育てて健康な体をつくってください。
そろそろ母乳や哺乳瓶をやめさせたいけれど、子どもがやめないと、ついイライラしたり不安になったりすることもありますね。 ご心配されているように、哺乳瓶でミルクや乳酸飲料、スポーツドリンクなどを飲ませながら寝かしつける習慣が続くと、上の前歯を中心にむし歯ができやすくなります。 これを「晴乳瓶むし歯」といいますが、寝ている間は唾液があまり出ないので、飲み物の糖分が歯の周りにたまるために起こります。母乳をあげている場合も同じです。上の前歯の表面が白く濁ってきたら要注意です。
「卒乳」には二つの方法があります。一つは自然な流れでの卒乳。欲しがる間はずっとあげて、赤ちゃんの方から離れていくのを待つ方法です。1歳を過ぎるころには、言葉の意味が少しずつ分かるようになります。言葉でのコミュニケーションを大切に、寝る前にお話を聞かせてあげたり、子守歌を歌ってあげたりして、授乳以外の触れ合いで赤ちゃんが満足するものを探っていけたらいいですね。
もう一つは、目標を決めて親子で頑張る方法です。まず、飲み物をコップで飲む練習を始めましょう。上手に飲めるようになってくると、哺乳瓶を使つての授乳や母乳をあげる回数を少しずつ減らしていきます。そして、この日からと決めて思い切ってやめます。しばらくは欲しがって泣いたりぐずつたりする子が多いですが、抱っこしたり遊んだりして乗り切りましょう。
子どもが自分で磨いた後は、親の仕上げ磨きです。多くのお母さんが仕上げ磨きの悩みを抱えています。口はとても敏感なので、触られ、口の中に何かを入れられることを嫌がり、歯ブラシを見るだけで逃げたり泣いたりする子もいます。
こうした子どもの場合、嫌がるからといって仕上げ磨きをしないでおくと「泣いたらやらなくてもいい」と勘違いしてしまうとともに、汚れた口に慣れて、歯磨きの習慣をつけるのが難しくなります。
「歯や口が汚れていると気持ちが悪い」という感覚を、幼いうちから体で覚えさせましょう。まず、子どもの頭をお母さんの膝に寝かせます。こうすると安定して、口の中がよく見えます。歯ブラシを軽く持ち、ごくわずかに振動させるように動かすのがこつです。磨く順番は、感覚が鈍い下の奥歯、上の奥歯、下の前歯、上の前歯の順だと抵抗が少ないようです。磨き終わったら、泣いていても、すかさず褒め言葉をかけてあげましょう。 どの子も仕上げ磨きを嫌がるのは一時的で、成長とともに変わっていくものです。毎日奮闘しながらも、「歯磨きは楽しい」と感じられるように家族ぐるみで取り組み、丈夫な歯を育てて健康な体をつくってください。