第18回 子供の開咬
舌癖顕著なら早期治療を
質 問
3歳の子どもが、指しゃぶりをしているせいで前歯同士が大きくすいていて、検診で「開咬」(かいこう)と言われました。今は離乳食ですが永久歯でも開咬になるのでしょうか。
いつごろどんな治療を受ければよいでしょうか。
回 答
徳島県歯科医師会
菊池 賢司
第18回 子供の開咬
舌癖顕著なら早期治療
指しゃぶりが原因で開咬という不正咬合になることがあります。これは、口を閉じているのに指が入る分だけ前歯がすいている状態です。<写真参照>。指を吸っている時間や吸う強さによって程度はまちまちですが、検診で指摘されて気付くことが多いようです。乳歯期の開咬は、指しゃぶりが止まった小学生の永久歯にも引き継がれることがあります。
指しゃぶりによる3歳児の開咬。
指の形に前歯がすいている。
この場合の原因は、指の代わりに舌を前歯の間に突き出す癖「舌癖」です。ものを飲み込むときは口中を陰圧にしなければならず隙間を閉じようとしますが、舌癖が口腔悪習癖となって開咬の自然治癒を邪魔します。こうなると生え代わった永久歯がまた開咬となってしまい、前歯で物がかみ切れません。また、開咬・舌癖のある子どもの多くは口呼吸のため、翻転(ひっくり返る)した唇 が見えて、外見的によくありません。さらに、かむ力が弱く顎の発達も悪いので、他の不正咬合の原因にもなります。 では、開咬を治すにはどうすればいいのでしょうか。指しゃぶりが残っていれば、まずできるだけ早くやめさせることです。ただし、乳幼児期の指しゃぶりは誰にでもあり、心の発達に必要と考えられる側面もあります。従って、やめさせるべき指しゃぶりは、4歳以上で明らかに開咬の原因となっている場合に限定します。
指しゃぶりをやめさせるために▽指に唐辛子を塗る ▽手袋をはめる といった方法はお勧めできません。強制的にやめさせると、こっそり爪かみなど他の習癖になることがあるからです。また、おねしょと一緒で叱ってもうまくいきません。4歳以上なら、カレンダーにシールを貼る方法があります。指を吸わない約束を第三者、例えば歯科医や歯科衛生士として、少しでも我慢できたら褒めてシールを貼る。ちょっとくらいは大目にみて、1日1回指を吸わない約束を思い出させるのが目的です。楽しい遊びにしてください。
指しゃぶりが止まり舌癖がなければ、軽度の開咬は自然治癒します。しかし、5歳以上になって舌癖や開咬が顕著な場合には、簡単な装置を使って治療することもあります。小学2、3年生になって学校の歯科検診で開咬が指摘されたら、早めにかかりつけの歯科医院を受診してください。この時期は永久歯への全交換時期です。一度診断してもらうとよいでしょう。
症状によってはタングクリブという舌癖除去装置を装着したり、舌癖のトレーニングをしたりします。成人になってからでも矯正治療は可能ですが、早期治療が後戻りが少なく効果的なことが多いのです。不正咬合の程度や年齢により、治療方法や介入時期はまちまちです。タイムリーな処置を受けるためには、かかりつけ歯科医による虫歯管理を含めた定期検診をお勧めします。
指しゃぶりによる3歳児の開咬。
指の形に前歯がすいている。
この場合の原因は、指の代わりに舌を前歯の間に突き出す癖「舌癖」です。ものを飲み込むときは口中を陰圧にしなければならず隙間を閉じようとしますが、舌癖が口腔悪習癖となって開咬の自然治癒を邪魔します。こうなると生え代わった永久歯がまた開咬となってしまい、前歯で物がかみ切れません。また、開咬・舌癖のある子どもの多くは口呼吸のため、翻転(ひっくり返る)した唇 が見えて、外見的によくありません。さらに、かむ力が弱く顎の発達も悪いので、他の不正咬合の原因にもなります。 では、開咬を治すにはどうすればいいのでしょうか。指しゃぶりが残っていれば、まずできるだけ早くやめさせることです。ただし、乳幼児期の指しゃぶりは誰にでもあり、心の発達に必要と考えられる側面もあります。従って、やめさせるべき指しゃぶりは、4歳以上で明らかに開咬の原因となっている場合に限定します。
指しゃぶりをやめさせるために▽指に唐辛子を塗る ▽手袋をはめる といった方法はお勧めできません。強制的にやめさせると、こっそり爪かみなど他の習癖になることがあるからです。また、おねしょと一緒で叱ってもうまくいきません。4歳以上なら、カレンダーにシールを貼る方法があります。指を吸わない約束を第三者、例えば歯科医や歯科衛生士として、少しでも我慢できたら褒めてシールを貼る。ちょっとくらいは大目にみて、1日1回指を吸わない約束を思い出させるのが目的です。楽しい遊びにしてください。
指しゃぶりが止まり舌癖がなければ、軽度の開咬は自然治癒します。しかし、5歳以上になって舌癖や開咬が顕著な場合には、簡単な装置を使って治療することもあります。小学2、3年生になって学校の歯科検診で開咬が指摘されたら、早めにかかりつけの歯科医院を受診してください。この時期は永久歯への全交換時期です。一度診断してもらうとよいでしょう。
症状によってはタングクリブという舌癖除去装置を装着したり、舌癖のトレーニングをしたりします。成人になってからでも矯正治療は可能ですが、早期治療が後戻りが少なく効果的なことが多いのです。不正咬合の程度や年齢により、治療方法や介入時期はまちまちです。タイムリーな処置を受けるためには、かかりつけ歯科医による虫歯管理を含めた定期検診をお勧めします。