第15回 歯に関する県条例
地域の連携推進図る
質 問
今年、歯に関する県の条例ができたと友人から聞きました。
幼い子どもがいる親でもあり、どのような条例なのか興味があります。内容を教えてください。
回 答
徳島県歯科医師会
松本 侯
第15回 歯に関する県条例
地域の連携推進図る
県条例についてのご質問ですが、正式には「笑顔が踊るとくしま歯と口腔の健康づくり推進条例」(以下県条例)といいます。今年2月、議員提案によって制定されました。昨年8月に「歯科口腔保健の推進に関する法律」が施行され、その理念が徳島県内でも具体的に実施されるように制定されたのが、この県条例です。 県条例の前文には「歯と口腔の健康は、全身の健康の源である」「今後特に、妊娠期及び乳幼児期等の歯科保健対策、歯周病対策並びに地域連携の推進に重点的に取り組む必要がある」と記されています。
「歯と口腔の健康づくり」が「健康増進、疾病管理、生活の質の向上」につながることは、さまざまな臨床研究、疫学研究から明らかになってきました。
昨年、ある一般企業の社員食堂で実践された事例が注目されています。具材を少し大き目、硬目に調理することで、自然とかむ回数が増え、一口30回以上かむことが満腹中枢を刺激して肥満防止につながるーといった内容です。よくかむことはさらに、食中毒を防ぐことにもつながります。食べ物を唾液とよく混ぜれば、細菌を弱らせることができる上、よくかんで食べ物を細かくすると、胃酸による殺菌の手助けにもなるからです。
「歯・口腔の健康は全身の健康に関係する」ものであり、「歯と口腔の健康づくり」は「からだ全体の健康の源」であることを、徳島県歯科医師会は広く県民の皆さんにお伝えしていきたいと考えております。
そこで、われわれは条例の前文に記されている三つの重点項目に力を入れてまいります。それは▽妊娠期と乳幼児期の歯科保健対策 ▽糖尿病を意識した歯周病対策 ▽患者の口腔ケアといった地域連携の推進ーです。
妊娠期の歯科保健対策では、妊婦の生活習慣に対する指導を行います。歯周病が進行すると、毒素が発生して胎児に悪影響を及ぼしたり、早産の原因になったりすることがあります。さらに、乳歯、永久歯とも、母親のおなかにいる時からでき始めるので、乳児が丈夫な歯を作るには、親がカルシウムだけでなく良質のタンパク質やビタミン類をバランスよく摂取することが大切です。 歯周病対策は、標準的な成人歯科健診・歯科保健指導と、簡易血糖値自己測定・口腔がん検診のセット健診が考えられます。ここでいう歯科健診は、従来の健診とは違って歯科医師による口腔内診査が原則なく、唾液検査を用い、歯科衛生士による保健指導がメーンの行動・環境リスク発見型、行動変容支援型健診となります。
これらを実践する上でのキーワードは▽生活習慣を変える ▽医療連携(医療と歯科医療の連携 )を進める ▽生きる力を支える歯科医療の実践ーだと考えています。
「県民の皆さんのからだ全体の健康」について、医療関係者はもちろん、他のさまざまな団体、業種、職種の人が連携することが大切です。また、歯周病と糖尿病において、より医療連携を進め、クリティカルパス(医療機関間の診療計画表)の構築を目指し、地域連携の推進を図ることが重要だと考えています。このようなことからも、われわれは今年を「連携元年」と位置付けています。この県条例を実践することが、さまざまな連携の後押しとなり、県民の皆さんの健康寿命を延ばすことに寄与するよう願っています。
「歯と口腔の健康づくり」が「健康増進、疾病管理、生活の質の向上」につながることは、さまざまな臨床研究、疫学研究から明らかになってきました。
昨年、ある一般企業の社員食堂で実践された事例が注目されています。具材を少し大き目、硬目に調理することで、自然とかむ回数が増え、一口30回以上かむことが満腹中枢を刺激して肥満防止につながるーといった内容です。よくかむことはさらに、食中毒を防ぐことにもつながります。食べ物を唾液とよく混ぜれば、細菌を弱らせることができる上、よくかんで食べ物を細かくすると、胃酸による殺菌の手助けにもなるからです。
「歯・口腔の健康は全身の健康に関係する」ものであり、「歯と口腔の健康づくり」は「からだ全体の健康の源」であることを、徳島県歯科医師会は広く県民の皆さんにお伝えしていきたいと考えております。
(2010年度徳島県歯科保健実態調査などによる)
- 全国平均と比べ、3歳児で虫歯がある人の割合が高い
- 全国平均と比べ、12歳の1人平均の虫歯の本数が多い
- 歯と口腔の健康と関連のある糖尿病が全国ワースト1
- 全国平均と比べ、成人の歯周病(中等度以上)にかかっている人の割合が高い
- 介護を要する人や障害者ら、歯科保健を受けることが困難な状現にある人の歯科医療が課題
そこで、われわれは条例の前文に記されている三つの重点項目に力を入れてまいります。それは▽妊娠期と乳幼児期の歯科保健対策 ▽糖尿病を意識した歯周病対策 ▽患者の口腔ケアといった地域連携の推進ーです。
妊娠期の歯科保健対策では、妊婦の生活習慣に対する指導を行います。歯周病が進行すると、毒素が発生して胎児に悪影響を及ぼしたり、早産の原因になったりすることがあります。さらに、乳歯、永久歯とも、母親のおなかにいる時からでき始めるので、乳児が丈夫な歯を作るには、親がカルシウムだけでなく良質のタンパク質やビタミン類をバランスよく摂取することが大切です。 歯周病対策は、標準的な成人歯科健診・歯科保健指導と、簡易血糖値自己測定・口腔がん検診のセット健診が考えられます。ここでいう歯科健診は、従来の健診とは違って歯科医師による口腔内診査が原則なく、唾液検査を用い、歯科衛生士による保健指導がメーンの行動・環境リスク発見型、行動変容支援型健診となります。
これらを実践する上でのキーワードは▽生活習慣を変える ▽医療連携(医療と歯科医療の連携 )を進める ▽生きる力を支える歯科医療の実践ーだと考えています。
「県民の皆さんのからだ全体の健康」について、医療関係者はもちろん、他のさまざまな団体、業種、職種の人が連携することが大切です。また、歯周病と糖尿病において、より医療連携を進め、クリティカルパス(医療機関間の診療計画表)の構築を目指し、地域連携の推進を図ることが重要だと考えています。このようなことからも、われわれは今年を「連携元年」と位置付けています。この県条例を実践することが、さまざまな連携の後押しとなり、県民の皆さんの健康寿命を延ばすことに寄与するよう願っています。