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東日本大震災で被災された方々の避難所での生活をテレビで見ていると、避難した際の家族の歯のことも心配に思いました。
小さな子供や高齢者もいますので、避難所での歯や口の手入れについて教えて下さい。

 
第12回 被災地での歯の中の手入れ
唾液腺マッサージ乾燥防ぐ
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東日本大震災で被災地に派遣された徳島県歯科医師会
平成23年3月11日、巨大な自身が押し寄せる信じられない光景をテレビで見たあの日から1年が経過しました。しかし、被災地はまだまだ復興の真っただ中であり、全国規模での支援も続いています。
徳島県歯科医師会は震災発生後の4月8日から、歯科診療チームを巡回歯科診療バスとともに派遣。私もその一員として宮城県石巻市へ行きました。道案内をしてくれた現地の歯科医師は、津波で自宅や診療所を失い、また、目の前で津波に流される人を助けられなかったと話され、お聞きしていて胸が痛み言葉がありませんでした。
チームの出発前夜に震度6の余震があり、私たちが現地に入った時は、復旧されつつあった水道が再び断水となっていました。「診療パスのタンクの水を診療チェアのうがいに使ってもいいのですか」と、患者さんに尋ねられたことも忘れられません。
災害時は水不足などの悪条件で、過酷な口腔内になりかねません。歯みがきが十分にできない状況が長く続くとむし歯を引き起こすほか、お口の中を清潔に保てないと、 繁殖した細菌が唾液や食べ物などと一緒に気管に入ってし まい、肺炎(誤礁性肺炎)を起こしゃすくなります。歯の手入れは、口臭やむし歯、歯周病の予防だけでなく、高齢者にとっては肺炎を防ぐことにもなるのです。
少量の水でできる歯みがきを紹介しましょう。コップに3分の1くらいの水を準備し、その水でハブラシをぬらしてから歯みがきを始めます。口の中の汚れをかきだすようにし、ハブラシが汚れてきたらティッシュペーパー (あればウエットティッシュ)でふき、また歯磨き。
これを小まめに繰り返します。最後にコップの水で2~3回すすぎます。水を一気に含むのではなく、2~3回に分ける方がきれいになります。
私が行った避難所にも、救援物資としてハブラシは届いていました。うがい薬やデンタルリンス、洗口液が入手できれば、ご使用いただくことにより効果的です。
お口の中を清潔に保つためには、入れ歯の汚れを落とすことも大切です。食後には、はずして汚れを取りましょう。また、夜は寝る前にはずしましょう。
避難所では、口腔乾燥の状態も目にしました。唾液の分泌が低下することで起こり、 その弊害として①酸を中和する役割の低下②酵素などによる抗菌作用の低下③粘膜を保護する作用の低下ーなどが起こります。
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大唾液腺の分布
「唾液腺マッサージ」をすれば唾液の分泌を促すことができます。唾液腺には代表的なものとして、耳下腺、顎下腺、舌下腺があります《図参照》 。耳下腺マッサージは、 耳たぶの辺りから頬骨の下まで手のひらでマッサージします。顎下腺マッサージは、下顎の後ろの角の部分から前へ親指の腹で押していきます。
舌下腺マッサージは、顎の下を押します。唾液が出てくるのを感じてください。
唾液の効能として①再石灰化作用がむし歯を防ぐ②細菌に抵抗する③消化を助ける④発がん物質の働きを抑える などがあります。また、口腔乾慢を予防するツールとして、口腔内保湿ジェルがあります。口腔内粘膜や義歯の裏側に塗布して使用し、乾燥による痛みを緩和した例もあります。
普段の生活の中でも、少量の水での歯みがきや唾液腺マッサージの方法を知識として持ち、時々は試していただけたらと思います。
p12-morimoto徳島県歯科衛生士会
森本 みどり


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